自分の中に毒を持て<新装版>【書評】

エッグの書評

岡本 太郎 著 (青春出版社)/ 2017.12.20発行



これは今から28年前、1993年に発行されたものの新装版。
わたしの敬愛するマコなり社長が絶大な影響を受けた岡本氏の本! です。

数年前、わたしの地元前橋市に岡本氏の「太陽の鐘」が設置されました。広瀬川河畔にあり、庭を建築家藤本宗介氏がデザインしています。偶然鐘をつく場面に遭遇してw今まで2度ほどついてます。大人が何人がかりかで引っ張らないとつけない重いものです。


芸術は爆発だ

昭和世代なら岡本氏といえばこの言葉ですよね。でもおそらくその意味を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。わたしもそうでした。岡本氏の主な作品は力強く、骨太で原色が使われたりして、激しい印象を受けるのでなおさら。爆発というと激しく飛び散っていく様を想像しますが、そうではないのです。岡本氏がいう芸術とは「生きる」ことであって、「芸術は爆発だ」というのは、自分の全身全霊が今その瞬間に無条件、無償、無目的に宇宙に向かって開き続けていくということなのだそうです。つい打算的なことを考えてしまうわたしにとって、とても耳が痛い、、、

岡本氏は18歳で渡仏し、パリで抽象芸術やシュルレアリスムに影響を受け、29歳に帰国し日本で前衛的な芸術活動をします。戦後当時の日本では到底受け入れられることではなく、親切な人からは「出る杭は打たれる」と忠告をされたそうです。でもそれには屈しませんでした。そしてこう言います。「俺は生きた! という自分自身のスジを貫き通すべきだ。」ちょっと、カッコ良すぎるよ。

相手の中から引き出す自分、それが愛

「運命的な出会いと結婚は関係ない。」わたしもそう思います。(あーあ、言っちゃった…)
わたしは既婚者ですし、平和に楽しく暮らしていますし、不満があるわけでもない。
ただ、結婚とはただの契約に過ぎないということに異論はありません。暮らしていくのに便利なシステムと思ってます。もう一度言いますが、わたしは今楽しく幸せに暮らしています! ww

岡本氏は結婚はしなかったものの、たくさんの恋愛をしています。戦争でやむなく別れてしまったことも。切ない…
そして「自分がその人を好きだという、その気持ちに殉じればいい。」、もし相手が自分を好きになってくれなくても、自分が好きだと強く感じた相手がいれば、それが運命的な出会いだというのです。ロマンチストですね。カッコ良すぎだよ。

ここで持論を述べますが、わたしは愛は大きなもので、恋愛はその中の一部と思っています。もちろん、恋は特別なのものです。そしてわたしは、家族や友人から隣人や知らない誰かのことまで愛しています。(いきなりどうした)


世の中は変わらなくても自分自身は変わる

この言葉に一番感銘を受けました。
自分の中に毒を持つこととは、常に自分と闘うこと、アップデートしていくこと、自分を貫くことだと思います。たとえ世の中が変わらなくても妥協せず、世の中や周りのせいにして甘えずに自分のまわりの小さなことから自由に、気ままに変えていきたいです。

ただ今はだいぶ価値観が多様化してきて、良い方へ向かっていると感じています。お互いを認め合える世の中になっていけばいいなと思います。


おまけ

わたしの心の恋人、プレイボーイの寅さん(男はつらいよ)の好きなセリフを紹介します。

“なんか気分が柔らかァくなってさ、この人を幸せにしたいな、と思う。
 もうこの人のためなら死んじゃってもいい、命なんていらないと思う。それが愛ってもんなんじゃないかい?”

こんなこと言われたら、メロメロになっちゃうww