2025.8.14
舞台芸術に心を動かされるとき、それは筋書きを追ったからではなく、音と人の声が重なり合った瞬間に訪れるのだと思う。
『レ・ミゼラブル』を東急シアターオーブで観た時も、まさにそうだった。
ソロの声が放つ孤独の響き。
トゥッティでぶつかり合う声の緊張感。
合唱が会場全体を包みこみ、オーケストラと溶け合った瞬間の鳥肌。
音の厚みに押し流されるように、自然と涙があふれた。
「うまくて泣ける」というのは、不思議な体験だ。けれど、その正確さや力強さに出会うと、心が解き放たれてしまう。舞台の上に積み重ねられた修練が、客席の心を震わせるのだと思う。
繰り返し現れるテーマやメロディーも印象的だった。
母親が置いてきた子どもを思って歌う場面は胸が締めつけられ、みんなで歌う行進のシーンでは、声と声が重なって空気そのものが揺れるようだった。
その時わたしは、物語に感情移入したというよりも、音楽と身体が生み出す迫力に圧倒されていた。舞台芸術とは、完成度の高さと人間の生々しさが同居する場。だからこそ、言葉を超えて心に響いてくる。
「心が震えた」──シンプルだけれど、それしか表現できなかった。
帰り道、感動の余韻を抱えながら渋谷の街を歩いていて、ふと気づいた。
あんなに壮大な合唱を聴いたのに、頭の中でリフレインしているのは、なぜかエッグの「ウフフ」だったりする。人間って、ほんと勝手だ。
あの空気を知っている人なら、きっとこのグッズにも余韻を見つけられるはず。
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